2019年東大日本史の分析

東京大学の2019年日本史について分析して行きたいと思います。資料問題中心でなじみのないテーマが出ることもある東大日本史ですが今年は例年よりはおとなしかった印象ですね。

問題は河合塾のサイトを参照。

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大問1…古代(平安貴族に関する問題)

平安時代の貴族が先例を重視したことに関する設問でした。平安貴族が先例を重要視していたことは日本史でも習いますし、そもそも国語の古文の常識でもあります。東大受験生でこのテーマを知らなかったという受験生はいないでしょう。資料として与えられた文章も現代語で分かりやすく、設問そのものも何を書くかわかりやすい要求でした。字数もAが1行、Bが4行と長すぎず、かといって解答をまとめるのに苦労するほど字数が少ないわけでもないです。

例年の大問1(古代)に比べればかなり簡単で高得点が期待できる受験生も多いでしょう。

大問2…中世(鎌倉時代の朝幕関係)

大問2は鎌倉時代からの出題。Aは承久の乱とそれが朝幕関係に与えた影響をこたえるだけで平易。Bは両統迭立に関する問題だが平均的な受験生の知識でも十分解答できるし、資料を見ても素直に答えが書ける問題。そもそも資料自体も東大日本史お得意の教科書を大きく逸脱する内容や意外性のある資料が出されたわけでもなく、教科書レベルの知識と大して変わらない内容でした。

大問1同様かなり簡単な問題で合格するには高得点は必須でしょう。

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大問3…近世(江戸時代の貿易)

江戸時代の貿易や経済状況に関する問題。Aは当時の貿易状況や金銀の産出量が減少していたという教科書レベルの知識で解答でき、かなり簡単な問題だと思います。Bは大問1、2よりは難しいかなぁという印象。それぞれの産物の用途に留意してという指定がいかにも東大日本史らしい問題でした。とはいえAで資料2~4に触れられているため、なんとなくBは資料1を使うという目星がついてしまうこと、資料自体が分かりやすいことも相まって例年よりは若干マシな部類だと思いました。

Aが解けることは前提としてBでどれくらい得点できたかが勝負を分けそうな問題です。

大問4…近現代(20世紀の機械工業)

大問4では頻出の経済史に関する問題。資料が発表された年代を見れば第一次世界大戦時の大戦景気、朝鮮戦争時の特需景気の話題であることは容易にわかります。A、Bともに背景には戦争がありますが解答欄には資料を読んだうえで軍需産業以外の話題を盛り込むことができたかどうかが合否を分けそう。Bは戦後史だが1953年なので地方公立の学生でもギリギリ終わっている範囲だと思います。リード文のように高度経済成長期の問題だったら難易度は上がったと思います。

リード文が長く、驚いた人もいるかもしれません。2019年の問題の中では最も難しい問題だと思いますが例年の大問4に比べれば取り組みやすい問題でした。

全体を見た分析・感想

「どうしちゃったんだ?」というような難易度の低下。わかりにくい資料も受験生になじみのないテーマからの出題もなく、オーソドックスな論述問題に資料という名の毛が生えただけの問題ばかりであった(もちろん資料を無視した解答を作ってはいけませんが)。個人的には東大日本史の問題はかなりトリッキーな問題が多く、世界史のような論述問題を出してほしいと思っていますが、2019年の問題は難しくなく、ちょっと拍子抜けしました。

平均点は40点を超えるんじゃないでしょうか。日本史が得意な人には8割前後の得点も不可能ではなく、また東大型の出題形式がイマイチという人には朗報だったと思います。逆にこの問題で6割を切ってしまうようでは厳しそうかな。ただし、問題が簡単でも採点基準が超厳しくなる可能性もあるので確固としたことは言えないかもしれません。

2019年は簡単だったのでおそらく予備校や高校の日本史教師の話題になり、怒った東大教授陣により来年度の難化は間違いないと思います。

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