2019年東大入試英語の分析

2019年東大入試分析シリーズ、今回は英語です。出題形式が多様で配点も120点と高く厄介な科目ですが、大問ごとに診ていきたいと思います。

問題は河合塾のサイト参照。

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大問1…要約・文補充

大問1Aは例年通り要約問題でした。30年以上ずっと要約問題が出題されています。本文の長さ、要約の字数、本文の内容ともに(東大の大問1としては)無理がある出題ではないです。ヨーロッパで生じた変化を要約せよとなっているので本文を要約せよという指定よりは解きやすかったかと思います。

大問1Bは文補充でした。ただし、1問本文内の単語を使った空欄補充があります。文補充は選択肢に逆説や指示語などがあり、本文の内容がしっかり読めていればそれほど難しくはありません。しかし本文が長く、解答に時間がかかりそうであるがゆえに後回しにして解きたい問題でもあります。

大問2…自由英作文・和文英訳

大問1Aは自由英作文でした。提案したい新たな祝日、その意義、その祝日が望ましい理由を述べる問題です提案したい祝日というのは自由英作文では見たことがないような内容です。書きたい祝日よりも自分が知っている表現で題意を満たせる祝日を発想できるかが焦点だったと思います。語数が60~80語とやや長めなこともさかなり難しいと思います。

大問2Bは和文英訳でした。去年復活してから2年連続の出題です。和文英訳に備えていた受験生も多かったと思います。日本語自体も直訳みたいな文章なので英訳するにもそれほど難しくはなさそうです。文章内の表現も難しくはないですが細かい部分までしっかり英訳できたかどうかで差が付きそうな問題です。


大問3…リスニング

スクリプトが載っていないので断念。選択肢は長くないですが選択肢の数自体が5個であり4個時代の過去問に比べると厄介な問題なのでしょう。問題と直接関係ないですが選択肢の帯分数は入試ではあまり見ないので新鮮でした。

受験においては昨今の出題ミス騒動により、問題や解答例を公表していくのが世間の流れになりつつあります。にもかかわらず、リスニングのスクリプトを非公開にするというのは明らかに現状から逆行しており大変残念なことだと思います。(2019年3月8日に東大は問題を公表すると発表しました。おそらくリスニングのスクリプトも公開されんじゃないかと思います。)

大問4…文法と和訳

大問4Aは文法問題です。段落内の下線部で誤りを含むものをマークさせる問題でした。東大の文法問題は形式もちょこちょこ変わることがあるうえにかなり難しいです。今年も難しく正直言ってどこが、なぜ誤っているのか分からんような選択肢ばかりです。文法や語法に相当詳しくないと根拠をもって全問正解するのは困難でしょう。

大問4Bは和訳です。(ア)はWhileやreasonを含んでいる文章でこれらをうまく訳せているかがポイント、(イ)はthat以下が訳しにくく少し難しい。(ウ)も単語は難しくないが訳しにくい。全体的にうまく日本語に訳そうとすると骨が折れる問題が多めでその点では例年通りです。

大問5…長文読解

大問5は長文読解です。今年は説明問題が中心で和訳は出題されませんでした。説明問題は前後が読めていればある程度の解答を完成させることはできそうなレベル。字数指定がないのは幸いです。語句整序は強調構文がターゲットになっていると思われますが特殊な形で難易度は高いと思います。単語補充はマニアックな単語は選択肢に入っていないので頑張って正解したい問題。内容不一致問題でも選択肢に強調構文が用いられているので注意して解きたい問題です。

問題文の難易度は、じっくり解く時間が与えられれば極端に高いわけではないと思いますが約1000語と長く、そもそも試験時間が短すぎるので総合的な難易度は高いでしょう。


全体分析と感想

全体的には細部の変化はありますがリスニング、ライティング、リーディングを様々な問題で広く問うという方針には変化がないと思います。試験時間が異常に短いのも変わらず、素早く問題を処理する力も大切です。難易度については大問1Aあたりは易しくなっていますが、文法問題や自由英作文はやや難化しているので総合的に見れば平年並み程度だと思います。他の教科の出来にもよりますが英語が苦手な人でも70点前後は取っておきたいところでしょうか。

受験生は問題傾向が少しくらい変わっても動揺しないよう、様々な問題に対応できる実力が求められていると思います。

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