平成の東大入試世界史難問ランキング(大問3編)10位~6位

コラム

東大には難問や奇問は絶対に出ない、良問しかないという権威主義的な人がいます。しかしごく稀に教科書に載っていなかったり出題頻度が低く普通おぼえないような単語が出題されたりすることもあります。今回は世界史の大問3短答問題で平成の間に出題された難問を紹介します。

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第10位…2019年問10・北部のニューイングランド植民地

13植民地のうち北部のニューイングランドの植民地を2つ答えさせる問題。答えはマサチューセッツ、ロードアイランド、ニューハンプシャー、コネティカットから2つ

13植民地自体は世界史でも扱いますが植民地すべての名前と場所を覚えている人はまずいないでしょう。強いて言えば地理選択者はアメリカの北東部の州を適当に書いてあてるということができるかもしれませんが、日本史選択者はほぼ詰みです。

第9位…2009年問9・ベトナム光復会

ファン=ボイ=チャウらが広東に拠点を移し1912年に武装革命を目指して新たに作った結社の名称を答えさせる問題。答えはベトナム光復会。

ファン=ボイ=チャウや東遊運動自体は知っていて当然ですが広東で作った結社の名前はマニアックです。なかなか知っているはずがありませんが、出題者はおそらくファン=ボイ=チャウは有名だし、みんなわかるだろうから少しひねってみようと思い、出題したのでしょうが結果的に難問になりました。

第8位…1996年問12・安陽

『史記』に見える「殷墟」に当たる、この河南省の都市の名を答えさせる問題(地図によるヒントあり)。答えは安陽

殷の都の商を答えさせるのではなく、それの遺跡「殷墟」の現在地を答えさせる回りくどい問題。地図付きでかつ河南省の都市というヒントを与えたとしても殷墟の現在地を覚えてくるような受験生は多いようには見えない気がし、少々厳しいです。『25か年』にはこの年の大問3は完答が狙えると書いてありますが平均レベルでは無理だと思います。

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第7位…2010年問8・シュペングラー

第一次世界大戦の体験から『西洋の没落』を著して西洋文明の衰退を予言し、大きな反響をよんだ歴史家の名を答えさせる問題。答えはシュペングラー。

まず『西洋の没落』自体が受験レベルでかなりマイナーな作品で、私も問題をやるまで知りませんでした。一応教科書には載っていますがよほど余裕のある受験生でなければ覚えません。ギリギリ教科書に載っているレベルの文学史の中で最高クラスの難易度なんじゃないでしょうか。

なお2010年はキリスト教最初の『教会史』を書いた人物(エウセビオス)を答えさせる難問もあり、難易度が高かったです。

第6位…2015年問4・張之洞(袁世凱)

科挙の廃止を主張し、西洋式の新建陸軍の創設にも大きな役割をはたした清末の政治家の名前を答えさせる問題。答えは張之洞もしくは袁世凱。

科挙廃止の事実は既知でもそれを推進していたのが誰かは判断に迷います。出題者もそれを想定したのか西洋式の新建陸軍創設というヒントを出していますがこのヒントがすでにして細かくヒントとして機能していないです。多くの受験生は清末の有名政治家である袁世凱を書いて終わりですがこれも間違いとは言えない程度の解答であるようです。しかし、問題文の実情により近い政治家は張之洞で、これが答えという説もあり、解答がわれています。どのみち予備校等の解答がばらける短答問題を出す時点で難問・悪問とそしられても文句は言えないと思います。

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