平成の東大入英語難問ランキング(自由英作文編)

今回は東大英語の自由英作文について難しいものをランキングにしています。近年は和文英訳が復活し、自由英作文の比率は下がりましたが、それでも和文英訳オンリーになる可能性は低く、重要でないとは言い切れないと思います。集計対象は平成年間(1989~2019年)ですが90年代には自由英作文が出題されていない年もあります。

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第5位…2014年大問2A・画像と対話文

画像(男女二人が自動販売機の前に立ち、そのわきに犬がいるという状況)を見て自由に会話を想像し、50~70語程度の英語にする問題。

画像を説明する問題と、会話文を作る問題は過去に複数回出題歴がありますがこの問題はそれらの折衷的な問題。男女の会話を考えねばならないですが問題なのは犬と自動販売機です。これらに絡めず、取り留めもない会話をさせたら失点すると思われます。どちらかに絡ませるだけならともかく、両方とからめた会話文にしなければならないため、面倒になっています。語数も50~70語程度と幅を持たせてはいますが、この範囲に収まるストーリーを考え、使える英語で書くという作業は難関と言わざるを得ないです。

第4位…2019年大問2A・祝日の提案

提案したい休日とその意義およびその望ましい理由を60~80語で書く問題。

提案するタイプの自由英作文は頻出な部類だと思いますが、その内容が祝日というのは何とも言えない微妙な内容です。問題の解決法の提案あたりは問題集でも見たことがあるような気がしますが…祝日とは私もなかなかすぐには思い浮かびませんでした。内容を考えるのでも苦労しそうですがあくまでも自由英作文の場合は書ける表現を思い浮かべないといけないのでその点に注意しないと、とんでもない難易度になりかねない難問です。字数も60~80語と内容が思い浮かびにくい割には長いため、字数を稼げる表現を使うというのも考えなければならない可能性があります。


第3位…2015年大問2B・二つのことわざに対する意見

Look before you leap. と He who hesitates is lost. の2つの相反することわざがどのように相反するか説明し、どちらがよい助言と思われるか優とともに60~80語で答える問題。

前者は転ばぬ先の杖、後者は躊躇うものは失敗するという意味です。ことわざですが語彙は簡単で相反する内容と問題文に書いてあるので両方分からないという人はまずいないでしょう。まあもしことわざの意味が理解できないと滅亡しますが。この問題を難問にしているのはどのように反するかの説明部分です。内容が反するということは分かっている以上、それ以上の具体的な説明をしなければならないはずですが、これが難しいです。非常に厄介な条件指定と言えます。私もイマイチどう説明したらいいものかと頭をひねったもののうまくいきませんでした。

第2位…2011年大問2B・文章に対する意見

It is not possible to understand other people’s pain. という文について思うところを50~60語で書く問題。ただし、understandとpainは一度しか使えない。

普通に意見を書くタイプのオーソドックスな問題です。しかし内容が哲学的で難しいため、これにつられて難しい内容を書こうと思わないように注意する必要があります。そして厄介な指定が語句の制限です。もちろん同じ単語を同じ文章で何度も使うのは書く上でみっともないというのは分かります。しかしそれは文法や語法のミスとまでは言えないような気がするし、入試の英作ではミスを避けることが1番大事だと思います。この問題のように明らかにターゲットとなる語句を一回しか使わせないのはいじわるな設問と言わざるを得ないと思います。うまく言い換えるスキルがあるかどうかで差がつく問題と言えます。

ちなみに2014年にも文に対する意見を述べる自由英作は出題されています。その時も文章をそのままの形で使うなという指定がありました。今後もこの手の指定が来る可能性はあるでしょう。


第1位…2003年大問2B・雨降って地固まるの説明

スポーツチームの監督がマネージャー採用や補欠への出場機会増加、実力主義の貫徹といった様々な議論のをし「雨降って地固まる」と言うように、かえってチームの結束が固まり今年もみんなで力を合わせようと述べた。このときに監督が使った「雨降って地固まる」について、字義通りの意味と一般的にどのような意味で用いられるか、この文脈の中でどのような状況を言い表しているかという3点を60字程度で書く問題。

書く内容の指定が細かく、自由に書く余地はほとんどないタイプの自由英作文です。書く内容を考える必要はないですが、条件3つを英語で書くのは至難の業です。そもそも字義通りの意味という指定(おそらく雨が降り、地面が固まるというそのままの意味)が分かりにくく、緊張状態の試験会場では動揺する可能性もあります。加えて文脈での使い方は一般的な使い方(ことわざとしての意味をあらわしていると考えられる)と照らして誤用とは言い難いのでこれらを区別して書くのも難しいと思います。まとめるのも難しいですが若干不自由な日本語(というか問題設定)が状況を複雑にさせています。

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